2022年5月26日木曜日

【町田市立国際版画美術館】企画展「彫刻刀が刻む戦後日本―2つの民衆版画運動 」を観てきました【2022年7月3日まで】

町田市立国際版画美術館の前を通り過ぎようとした際、思わず目に留まったコチラのポスター。
・・・この作品って! もしかして☆
ピンとくる方、たくさんいらっしゃるのでは。

ということで、早速企画展を観ることにました。
【企画展「彫刻刀が刻む戦後日本―2つの民衆版画運動 工場で、田んぼで、教室で みんな、かつては版画家だった」】
会期:2022年4月23日(土)~7月3日(日)
休館日:月曜日
入場料:一般900円、大・高生450円、中学生以下無料

この企画展は、戦後日本で展開した2つの民衆版画運動、
1つは、社会運動を版画で伝え、アマチュアに版画を広めた「戦後版画運動」(1947~1950年代後半)と、
もう1つは、戦後版画運動から派生し、全国の小中学校の教員が学校教育において版画を広めた「教育版画運動」(1951~1990年代後半)を主に紹介する内容。
約400点の展示です。

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件のポスターに採用された作品は、学校の生徒たちが共同制作したものなのです。
青森県八戸市湊中学校養護学級約15名(指導:坂本小九郎)による『虹の上をとぶ船・総集編(2)』(1976 木版、紙)の、4点あるうちの1点、
「天馬と牛と鳥が夜空をかけていく」です。
そう。宮崎駿監督の映画「魔女の宅急便」(1989年)の作中に登場する絵(女性画家が描いたもの)のモデルとなった作品なのです。
・・・私の魔女宅の初見は小学生のときで、当時は魔女宅に出てくるその絵の良さが全く分からなかったですが・・・・・・今、こうしてみてみると、ステキ・・・そしてすごいと感じます。
観ることができてヨカッタ☆o。..:* ☆.。

坂本氏は、八戸市湊中学校養護学級で約9年間、版画を指導。歴代の子どもたちは、前の代が作り上げたイメージや物語を受け継ぎながら共同制作をしたとのことです。
 
青森県八戸市湊中学校養護学級約14名(指導:坂本小九郎)による『虹の上をとぶ船・総集編(1)』(1975 木版、紙)(4点で構成)も展示されいます。
つまり計8点の作品が、コチラの企画展の終盤にずらりと、壁面に並べられているのです。1点1点がファンタジーな世界観。

見どころだらけの企画展ですが、
私は生徒たちの共同制作作品がずらりと展示されている終盤(第6章)が一番スキです。

額に入れられているのではなく、まるで、とてつもなくおおきなタペストリーみたいな大型作品もあります。
東京都東久留米市神宝小学校卒業生有志23名(指導:細田和子)による「森は生きている(キッズゲルニカ国際子ども平和壁画)」(1999 木版、ロール紙)
・・・どういうふうに刷ったのだろう???(やはり何人かで協力して??)と思ったりしました。

青森県十和田市大不動小学校6年生14名(指導:藤谷芳雄)による「牛の放牧場」(1969 木版、紙)もスキです。おっきな三本の木の向こう側に、たくさんの牛さんたちがいる牧場が広がっています。カワイイ(*´▽`*)

青森県上北郡六戸町立昭陽小学校6年生11名(指導:中岫崇)による「黒土がきえるとき」(1978 木版、紙)も印象的でした。
青森の肥沃な黒土が都会に売られ、長い年月をかけて築かれた生態系が崩れてしまうという講話を聞いたことが出発点となった卒業制作で、
紙芝居形式。会場には6点展示されています。
勉強になったのはもちろんのこと、版画で表現されている動植物たちや風景の構成がとてもよくて、本当に、製本されて図書館や書店で並んでそうな絵本みたいです。
このような作品を作れる子どもたち、すごいな・・・

関東の生徒たちによる共同制作作品も展示されてますョ。
モチーフは多摩動物園、新宿西口駅前、川崎太師・・・などなど。

ところで、このような大型の共同制作作品って全国のどれぐらいの学校が手掛けてきたのでしょうか。私自身は、こういう作品の制作に参加した記憶がナイ(;'∀') 

ちなみに、今回の企画展では、「第5章」と、「第6章」の一部は写真撮影可能です。

この企画展では「章」によって、展示されている作品のカラーが少し~結構異なる印象ですが
(特に一番最後の章は、子どもたちが手掛けている作品ということもあってか、あたたかみやかわいらしさが増します)、
様々な版画を観て、
版画って、素朴さ、力強さ、かわいらしさ、アピール力、ファンタジー感など、様々な表現ができるジャンルなのだなぁと思いました。

今後も版画の展覧会をいろいろ観に行きたいです・・・というか、町田市立国際版画美術館、お気にになりそうです(*´▽`*)

美術館内の「喫茶けやき」。今回の企画展向け期間限定メニュー「プリンアラモード」

緑が美しい季節です。

【町田市立国際版画美術館】
所在地 東京都町田市原町田4-28-1
(小田急・JR「町田」駅から徒歩15分ぐらい)


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